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2)デリックバージ(クレーン付きはしけ)による海上輪送事例(香港)
香港では、デリックバージが数多く利用されており、約1,300隻のバージが稼働している。コンテナ貨物を沖取り(本船は岸壁に着岸せず、本船と岸壁の間をはしけが移動し貨物の揚積を行う方式)によって年間250万TEU(横浜港の年間取扱量とほぼ同じ)も輸送している。
デリックバージにはさまざまなタイプがあるが、一般的な型式は全長42〜44m、幅17〜18m、深さ5mで、備えつけのクレーンは吊上げ荷重150トン程度である。コンテナの積載量は40フィートコンテナを船倉に11本積める。香港では通常コンテナを6〜7段積みしているため、積載量は60〜70本になる(日本では4段積みが上限)。わが国ではコンテナ船の沖取りはほとんど行われておらず、デリックバージの使用例はないが、大阪湾や東京湾内のような内海の近距離輸送においては利用の可能性があると考えられる。

図5−7 デリックバージ

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デリックバージを使った近距離コンテナ輸送方式のメリットは、大量輸送によるコストダウンが第一に考えられる。トラックでは1台でコンテナ1本しか運べないが、デリックバージでは1隻で40〜60本のコンテナを運ぶことができる。また、荷役機械を備えているのでクレーンのない岸壁でも揚積みできる点も、初期投資が少なくてすむというメリットになる。
なお、瀬戸内海の福山〜伊予三島〜水島〜福山のルートで30TEU積みのバージによる外貿コンテナフィーダー輸送が平成8年11月から実施されている。このバージは福山港で上海

 

 

 

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